制作事例
またたび酒場 ルポ
保護猫と暮らす、ウイスキーが主役の小さなBAR。初めての方が感じる「入りづらそう」「料金が分からない」を、ページの上から順に解消していく構成にしました。公開して終わりではなく、店主が自分で更新できるところまで整えています。
この案件の概要
制作前の課題
- 入りづらさのある業態BARという業態と「猫がいる」という個性が、外からは分かりにくい。
- 料金が事前に分からない初めての方ほど、目安が見えないと来店をためらってしまう。
- 静かな空気を壊したくない宣伝らしい宣伝は、この店の雰囲気に合わない。
ヒアリングで分かったこと
最初に決まっていたのは店名と営業時間くらいで、「何を載せるか」はお店の話を聞きながら決めていきました。話すうちに見えてきたのは、この店の価値は品揃えの多さではなく、過ごし方にあるということです。
- 一人で来る方が多いにぎやかな宴会の店ではない。「一人で、静かに飲みに来ていい」を過ごし方の筆頭に置きました。
- お酒が飲めなくてもいいノンアルコールでも猫と過ごせる。飲めない方を歓迎していることは、書かなければ伝わりません。
- 猫は演出ではなく、この店で暮らしている保護猫がそのまま暮らしている場所。だから写真は、演出のない実際の店内写真だけを使うと決めました。
- 一番の不安は、やはり料金チャージのあるBARは初めての方に分かりにくい。ひとり分の合計金額の目安を、ページの前半で見せることにしました。
なぜ、この文章にしたか
トップの一文は「猫と、琥珀と、しずかな夜と。」。呼びかけや売り込みをやめて、店で過ごす時間の描写だけにしました。静かに過ごしたい人に向けたページで宣伝の声が大きいと、店の空気そのものが疑われてしまうからです。感嘆符や絵文字も使っていません。
その代わり、数字は曖昧にしていません。チャージ、ドリンクの価格、ひとり分の合計の目安まで具体的なまま載せています。雰囲気は静かに、情報は具体的に。この組み合わせが、初めての方の背中を押すと考えました。
写真・色・余白の判断
写真は全て実際の店内の写真です。明るさと色味だけを整え、写っているもの(棚のボトル、グラス、猫たち)は変えていません。「行ってみたら写真と違った」が、来店前の期待への一番の裏切りだからです。
色も新しく作らず、店にすでにある色から決めました。余白は「一画面に一つのことだけ」を目安に、情報を詰め込まないようにしています。
- 生成り和紙のような紙の色。ページの下地に。
- 深緑店頭看板のロゴの緑。見出しと締めの色に。
- 金グラスの中の琥珀の色。強調は、この一色だけ。
完成した画面
公開したあとのこと
公開して終わり、にはしていません。制作者がいなくても、お店が自分でサイトを育てていけるところまでを制作の範囲と考えています。
- 店名で検索すると、公式サイトが出る独自ドメインで公開し、Google検索やGoogleマップの店舗情報からサイトへつながるように整備しました。
- お知らせは、店主が自分で更新WordPressを使い、投稿を書くだけでトップのお知らせ欄に反映されます。写真付きの投稿にも対応しています。
- 紙ものも、同じデザインでコースターやメニュー表紙などを、サイトと同じロゴ・同じ色で制作しました。店で手に取るものと、画面で見るものの印象がそろいます。
店主からの感想
「このページを見て来てくれた人は、入る前からうちの過ごし方を分かってくれてる気がします」
またたび酒場 ルポ 店主
「『猫と、琥珀と、しずかな夜と。』って、まさに自分がやりたかった店そのままです。猫カフェでも居酒屋でもなく、静かに飲む店に猫がいる。その順番が伝わるのが一番うれしい」
「BARって『高そう』で敬遠されるのが一番悔しいので、ひとり2,800円くらいって先に言ってくれてるだけで、初めての人の入りやすさが全然違うと思います。ノンアルだけでもどうぞ、って書いてくれたのも。ああいうのは店側からはなかなか言い出しにくいんですよ」
「猫の扱いも品があって安心しました。『ほどよい距離を』って書き方なら、猫たちに無理をさせずに済む。あと看板の写真、あれ助かります。うち、ほんとに見つけてもらえないので」
最初の公開を終えたときにいただいた「相談してみてよかった」から、この感想まで。宣伝文句を並べず、店の空気をそのまま伝えるという方針で一緒に作ってきた、この制作のいちばんの成果だと思っています。次は、あなたのお店の話を聞かせてください。
感想は店主の了承を得て、いただいた言葉から抜粋して掲載しています。